Sunday, December 6, 2009

学習パターンの現状(2009年12月現在)

学習パターンの作成物語に入る前に、学習パターンの現状について、簡単にまとめておくことにしよう。

学習パターン(Learning Patterns)は、もともとは、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)にある総合政策学部と環境情報学部、政策・メディア研究科で学ぶ学生を支援する目的で作成されたものである(これらの学部・研究科には、合わせて約4千人の学生が在籍している)。

2009年4月には、新年度・新学期の公式な学事配布物として、学習パターンの冊子『Learning Patterns: A Pattern Language for Active Learners at SFC 2009』が配布された。A5サイズの黒い表紙の冊子で、見開き2ページに1パターンずつ掲載されている。




この冊子には、学習パターン・カタログのほかに、「科目履修と学習パターン」や「SFCらしい学びのための文献案内」という内容も含まれている。「科目履修と学習パターン」では、SFCカリキュラムの科目群別に、どの学習パターンが深く関係しているかがまとめられている。「文献案内」では、私たちのおすすめの文献を掲載した。

2009年4月中旬には、学習パターン ホームページの公開が始まった( http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/ )。このサイトでは、上記冊子のPDFファイルがダウンロードできるほか、パターン名とイラストによる一覧ページや、関連パターンへのリンクなど、Webならではのナビゲーションが加えられている。



2009年9月から、Twitterによる学習パターンの配信を開始し、毎日ひとつずつ学習パターンを紹介している( http://twitter.com/LPattern )。12月6日現在では、480人にフォローされている。



上述のSFC配布版では、No.1からNo.3のパターンが、SFCに特化したパターンになっている。具体的には、No.0の「学びのデザイン」を特徴づけるかたち(構造)で、No.1「SFCマインドをつかむ」、No.2 「研究プロジェクト中心」、No.3 「SFCをつくる」がある。そして、この3つのパターンこそが、学習パターンとSFCを結びつける役割(機能)を担っている。



しかし、この3つのパターン以外の学習パターン(37個)は、SFC学外の人にも十分通じる内容になっている。このことには、私たちも作成段階から気づいていたが、まずはSFC版をつくる、ということに専念していた。ごく最近、その3つのパターンを一般向けに置き換えたバージョンを作成した。

2009年11月下旬に開催されたSFCの研究公開イベント Open Research Forum (ORF) 2009では、No.1〜No.3のパターンを一般向けに変更して収録した冊子『Learning Patterns: A Pattern Language for Creative Learners 2009』を配布した。SFC版同様にA5サイズだが、今度は表紙の色は白。冬バージョンということで Snow White Edition と呼んでいる。



この冊子では、SFCに特化していた3パターンが、No.1 「学びのチャンス」、No.2 「創造的な学び」、No.3 「学びをひらく」に置き換えられている。



現在は、各パターンに、帰結(Consequence)という項目を加える拡張を行っている。これは、パターンを適用したときに想定されるポジティブや帰結と、副作用として考えられるネガティブな帰結について説明するという項目である。そして、英語版冊子の作成に向けて、翻訳作業も進めているところだ。以上が、学習パターンについての現状である。

No comments: