Saturday, December 5, 2009

パターン・ランゲージと学習パターン

学習パターンは、「パターン・ランゲージ」(Pattern Language)という考え方にもとづいてつくられています。パターン・ランゲージは、建築家のクリストファー・アレグザンダーが提唱した知識記述の方法です。アレグザンダーは、建物や街の形態に繰り返し現れる法則性を「パターン」と呼び、それを「言語」(ランゲージ)として記述・共有する方法を考案しました。彼が目指したのは、街や建物のデザインについての共通言語をつくり、誰もがデザインのプロセスに参加できるようにすることでした。

パターン・ランゲージでは、デザインにおける多様な経験則をパターンという単位にまとめます。パターンには、デザインにおける「問題」と、その「解決」の発想が一対となって記述され、それに名前が付けられます。パターン・ランゲージの利用者には、自らの状況に応じてパターンを選び、そこに記述されている抽象的な解決方法を、自分なりに具体化して実践することが求められます。

パターン・ランゲージを記述・共有する意義は、大きく分けて二つあります。一つは、熟練者がもつ経験則を明文化しているので、初心者であっても、洗練されたやり方で問題解決ができるようになるという点です。もう一つは、デザインに関する共通の語彙(ボキャブラリー)を提供するので、これまで指し示すことができなかった複雑な関係性について簡単に言及できるようになるという点です。

このようなパターン・ランゲージの考え方は、建築の分野以外でも、ソフトウェア開発を始めとして、インタラクション・デザインや組織デザイン、教育のデザインなどに応用され始めています。パターン・ランゲージの考え方は、実践知を共通言語化する方法として、今後もいろいろな分野へ応用されると考えられます。

「学び」の実践知をパターン・ランゲージとして記述したのが、学習パターンです。学習パターンは、世界で初めての「学び」の支援のためのパターン・ランゲージなのです。

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